ある教会、白百合の交じわいにて
今回、思いついたので書いてみました。短編です。続編は無いと思います。この作品に限って著作権は破棄するので勝手に続きを書いてください。一様R-15で描写はちょっと過激です。
どうぞ、
中世ヨーロッパの教会、穏やかな風が注ぐその場所に井戸があった。
この教会は特に人里と離れており、どの街道と接してもいないため、教会の中の人間関係は外とは少し違うものとなっていた。
教会の中にはシスターが六人ほどいた。神父は一人、その従者が一人、教会の中に男は二人だけだった。
「アルビアーノ、こちらに来なさい。」
「ロマンツァ姉様。」
そのシスターの中には、許されざる禁忌の恋に走る者もいたのだった。
「昨日会ったことは、だれにも話してはいないわね、アルビアーノ」
少し背の高い方のシスターが、そう聞いた。
「はい、だれにも話してはいません、他のシスターの方々にはもちろん、神父様にも」
「神父様はやさしく、あなたのような、無知な者は、何でもしゃべってしまうのでは、とは思っていたけれど、話さなかったのならいいわ。………今夜も来なさい。」
アルビアーノはその言葉を聞き、うれしさを顔に出した。ずっと遠い存在だと思っていたお姉さまと、秘密の時間にこうして、体を合わすことができるのだからと、
そう、この辺境の地、男としているのは、神父とその従者の二人だけ、何の愛もないという、無意味で乾枯な時間を過ごすうち、二人の関係は姉と妹以上の関係になっていった。
井戸に一人いた、ロマンツァ、すでに服を脱ぎ、裸体をさらしている。この時代もちろん風呂という物は無いわけで、お湯を暖める薪もあるにはあるが、シスターにはお湯などという贅沢なものは、だれも使えなかった。
井戸から水をくみ、自分の体に流す。冷たい水に体が縮こまる。
体を拭き、衣類を纏い、シスターの仕事に戻った。
「ねえ、ロマンツァお姉さま。」
ロマンツァはアルビアーノのほうに向いた。
「今日の事、本当にいいんでしょうか、私たちはシスターですよ、それなのに、こんなふうにしてしまえば、神の御心に反するのでは」
「アルビアーノ、私たちはシスターである前に、人間なのよ、息抜きは必要よ。」
「でも、」
そう言う、アルビアーノにロマンツァは指で彼女の口をふさいだ。
「黙ってればいいのよ。」
そう、ロマンツァは囁きかけた。
「お姉さま、何か暗いですが、なんで明かりをつけないんですか。」
そう言ったアルビアーノの辺りは暗く、ランプの明かりも少し遠くにあった。
「最近、都会で本を買ったの、その本に、こんな方法が書いてあったわ」
藁に寝っころがるロマンツァがアルビアーノを近寄られてそう言った。
「この本は、あまり出回ってはいないけれど、あなたと私の関係には適切だと思うわ。」
アルビアーノは聞いた。
「何が書いてあるんです?」
「秘密よ、でも、部屋を暗くしろとは、書いてあるわ」
アルビアーノはその本が、学業に努めるための本ではないことに気づいた。だがそれ以上は深く考えなかった。
「さあ、アル、こっちに来なさい。」
「はい、姉さま」
、それからキスや、口淫、お互いに愛の言葉を囁きつつの手淫、その時間だけの満足を、その二人は楽しんだ。
「ねえ、アル」
「なーに、お姉さま?」
「わたしの体が二つに増えて、両方の私があなたを愛したら、あなたは何を思うの?」
少しの間、アルビアーノは固まり、口を出した。
「そんな、あるわけないじゃないです。体が裂けてしまったら、死んでしまうじゃないです。」
「でもね、できるのよ、わたしには、」
そういうと、ロマンツァ姉さまのランプに照らされた影が、二つに分かれ、瞬間、姉さまが二人になっていた。
「さあ、アルビアーノ、どちらが私か分かるかしら」
「アルビアーノ、いつも一緒にいるあなたなら、見分けはすぐに付くわよね」
アルは混乱していた。急に目の前であり得ないことが起こったからだった。
「なんで、お姉さまが二人も」
ひとりのお姉さまが口に出された。
「、すこしまえよ、あなたより少し小さいとき、森で会ったの、私自身にね」
アルビアーノは恐怖を感じ、震えながらロマンツァの瞳を見ていた。
「わたしは死ぬと思ったわ、そうやって遠縁の家族が死んだって、聞いてたし」
「でもね、」
すぐ隣から、彼女の声がした。すぐ隣のロマンツァが話し出した。
「、私たちはお互いを見たわ、触れることは怖かった、それだけで消えてしまいそうだったから。死んでしまうくらい怖かった。」
再び、ロマンツァが話し出した。
「でもね、不思議と逃げてしまおうとは思わなかった。怖いけどそれから離れてしまって、逃げてしまって、それに追われるのなら」
「「ここで、わたしに服従させるって」」
「だから、私たちはお互いがお互いのマスター」
「どっちも、主でどっちも使い魔。精霊を服従させる呪文が聞いてよかったわ。」
「お互い相手の命令には逆らえなくなったけど。」
「だから、アルビアーノ」
「なに、お姉さま」
「私たちと、体を重ねて?」
「できません、わたしはシスター、不浄の身に体を触れ指すなど、そんなことはできません。」
ロマンツァは、少し黙りこう言った。
「わたしの事を、愛しなさい。」
「へっ、」
アルビアーノは好きな相手が自分の触れられぬ存在へと変わってしまっていくことに、涙を流し続けた。でも、その言葉を聞くと、素っ頓狂な声をだし彼女の言葉に戸惑いを感じていた。
「でも、この身は神のみの身」
そこまで言って、アルビアーノは言葉に詰まった。
「このわたしが穢れているように見えるの?」
そういって、ロマンツァはアルにキスをした。
「ね、わたしの体に触れて、昨日みたいに愛して、これからもずっと。」
「はい、お姉さま、私はお姉さまを拒めない、明日なんて分からないけど、私は」
そういって、アルビアーノは泣き崩れてしまった。
「いいのよアル」
三つの身体がお互いに体を交じわせ、吐息が身体と混じっていった。
リンク大歓迎、著作権は無いので、勝手にどっかで続編作って発表してください。
どうぞ、
中世ヨーロッパの教会、穏やかな風が注ぐその場所に井戸があった。
この教会は特に人里と離れており、どの街道と接してもいないため、教会の中の人間関係は外とは少し違うものとなっていた。
教会の中にはシスターが六人ほどいた。神父は一人、その従者が一人、教会の中に男は二人だけだった。
「アルビアーノ、こちらに来なさい。」
「ロマンツァ姉様。」
そのシスターの中には、許されざる禁忌の恋に走る者もいたのだった。
「昨日会ったことは、だれにも話してはいないわね、アルビアーノ」
少し背の高い方のシスターが、そう聞いた。
「はい、だれにも話してはいません、他のシスターの方々にはもちろん、神父様にも」
「神父様はやさしく、あなたのような、無知な者は、何でもしゃべってしまうのでは、とは思っていたけれど、話さなかったのならいいわ。………今夜も来なさい。」
アルビアーノはその言葉を聞き、うれしさを顔に出した。ずっと遠い存在だと思っていたお姉さまと、秘密の時間にこうして、体を合わすことができるのだからと、
そう、この辺境の地、男としているのは、神父とその従者の二人だけ、何の愛もないという、無意味で乾枯な時間を過ごすうち、二人の関係は姉と妹以上の関係になっていった。
井戸に一人いた、ロマンツァ、すでに服を脱ぎ、裸体をさらしている。この時代もちろん風呂という物は無いわけで、お湯を暖める薪もあるにはあるが、シスターにはお湯などという贅沢なものは、だれも使えなかった。
井戸から水をくみ、自分の体に流す。冷たい水に体が縮こまる。
体を拭き、衣類を纏い、シスターの仕事に戻った。
「ねえ、ロマンツァお姉さま。」
ロマンツァはアルビアーノのほうに向いた。
「今日の事、本当にいいんでしょうか、私たちはシスターですよ、それなのに、こんなふうにしてしまえば、神の御心に反するのでは」
「アルビアーノ、私たちはシスターである前に、人間なのよ、息抜きは必要よ。」
「でも、」
そう言う、アルビアーノにロマンツァは指で彼女の口をふさいだ。
「黙ってればいいのよ。」
そう、ロマンツァは囁きかけた。
「お姉さま、何か暗いですが、なんで明かりをつけないんですか。」
そう言ったアルビアーノの辺りは暗く、ランプの明かりも少し遠くにあった。
「最近、都会で本を買ったの、その本に、こんな方法が書いてあったわ」
藁に寝っころがるロマンツァがアルビアーノを近寄られてそう言った。
「この本は、あまり出回ってはいないけれど、あなたと私の関係には適切だと思うわ。」
アルビアーノは聞いた。
「何が書いてあるんです?」
「秘密よ、でも、部屋を暗くしろとは、書いてあるわ」
アルビアーノはその本が、学業に努めるための本ではないことに気づいた。だがそれ以上は深く考えなかった。
「さあ、アル、こっちに来なさい。」
「はい、姉さま」
、それからキスや、口淫、お互いに愛の言葉を囁きつつの手淫、その時間だけの満足を、その二人は楽しんだ。
「ねえ、アル」
「なーに、お姉さま?」
「わたしの体が二つに増えて、両方の私があなたを愛したら、あなたは何を思うの?」
少しの間、アルビアーノは固まり、口を出した。
「そんな、あるわけないじゃないです。体が裂けてしまったら、死んでしまうじゃないです。」
「でもね、できるのよ、わたしには、」
そういうと、ロマンツァ姉さまのランプに照らされた影が、二つに分かれ、瞬間、姉さまが二人になっていた。
「さあ、アルビアーノ、どちらが私か分かるかしら」
「アルビアーノ、いつも一緒にいるあなたなら、見分けはすぐに付くわよね」
アルは混乱していた。急に目の前であり得ないことが起こったからだった。
「なんで、お姉さまが二人も」
ひとりのお姉さまが口に出された。
「、すこしまえよ、あなたより少し小さいとき、森で会ったの、私自身にね」
アルビアーノは恐怖を感じ、震えながらロマンツァの瞳を見ていた。
「わたしは死ぬと思ったわ、そうやって遠縁の家族が死んだって、聞いてたし」
「でもね、」
すぐ隣から、彼女の声がした。すぐ隣のロマンツァが話し出した。
「、私たちはお互いを見たわ、触れることは怖かった、それだけで消えてしまいそうだったから。死んでしまうくらい怖かった。」
再び、ロマンツァが話し出した。
「でもね、不思議と逃げてしまおうとは思わなかった。怖いけどそれから離れてしまって、逃げてしまって、それに追われるのなら」
「「ここで、わたしに服従させるって」」
「だから、私たちはお互いがお互いのマスター」
「どっちも、主でどっちも使い魔。精霊を服従させる呪文が聞いてよかったわ。」
「お互い相手の命令には逆らえなくなったけど。」
「だから、アルビアーノ」
「なに、お姉さま」
「私たちと、体を重ねて?」
「できません、わたしはシスター、不浄の身に体を触れ指すなど、そんなことはできません。」
ロマンツァは、少し黙りこう言った。
「わたしの事を、愛しなさい。」
「へっ、」
アルビアーノは好きな相手が自分の触れられぬ存在へと変わってしまっていくことに、涙を流し続けた。でも、その言葉を聞くと、素っ頓狂な声をだし彼女の言葉に戸惑いを感じていた。
「でも、この身は神のみの身」
そこまで言って、アルビアーノは言葉に詰まった。
「このわたしが穢れているように見えるの?」
そういって、ロマンツァはアルにキスをした。
「ね、わたしの体に触れて、昨日みたいに愛して、これからもずっと。」
「はい、お姉さま、私はお姉さまを拒めない、明日なんて分からないけど、私は」
そういって、アルビアーノは泣き崩れてしまった。
「いいのよアル」
三つの身体がお互いに体を交じわせ、吐息が身体と混じっていった。
リンク大歓迎、著作権は無いので、勝手にどっかで続編作って発表してください。
- 関連記事
-
- 【文化祭発表原稿】ドアをくぐって
- ある教会、白百合の交じわいにて
- 私という主観の考察。6(私は私を嫁にする)
スポンサーサイト
コメント
素晴らしすぎです
明後日の狩人さんの小説が、
今まで読んだ中で一番大好きです!!
女性ならではの表現や展開が、
キュンキュンきます。
僕は男性なので、あまりでしゃばらないつもりですが、
これからも新作を楽しみにしています。
応援してます。
しつこいですが、大好きです!
季節の変わり目なので、お体にはお気をつけて。。。
2015-03-19 10:25 丸蔵 URL 編集
コメントありがとうございます。
丸蔵さんも、もっと、興奮してもらって、小説を発表して自分同士の小説を多くの人に見てもらえるように、興奮の感動の純度を高めるようにしてください。自分が作った小説で、誰かが感動してくれたら。書いてて良かったなって思うと思います。自分同士好きな皆さんは、自分同士小説だけはむちゃくちゃ読みたい筈ですから。
2015-03-19 19:10 明後日の狩人 URL 編集
こちらこそご返事ありがとうございます
明後日の狩人さんに勧められると、その気になっちゃいそうです。
初めて?読んだ女性の「自分がもう一人」な小説は、
新井素子さんの「ずれ」でした(ちなみに僕は30年前に10代でした)。
森奈津子さんの「からくりアンモラル」の「あたしを愛したあたしたち」は、
かなり血圧が上がりました。
2015-03-19 19:43 丸蔵 URL 編集